前回の結果表をもう一度見てみよう

今回は、人間ドックなどの健診を過去に受けたことがある方を対象に、オプションの選び方を提示いたします。
この記事をご覧になる方は、ぜひ前回の結果表とともにご覧になることをおすすめいたします。
まず例として、府中クリニックの成績表をご覧ください。
上に検査種別ごとに判定がついているのがおわかりいただけるのではないでしょうか。
府中クリニックでは、判定を大きく6つに分けています。
健診機関によって基準とする値が異なっていたり、判定の出し方が変わっていたりすることがありますので、他院にて受診されている方はそちらをご覧ください。
では、この判定や前回の結果を基にして、次に健診を受ける時にどんな検査を受けるのがいいのかを見ていきましょう。

前回のときに調べていない部分をチェック

次の図をご覧ください。
こちらは40歳代の女性を想定したデータです。前回の受診で図のような結果が出ていると仮定します。
この方は循環器(心臓など)や呼吸器(肺など)の検査は受けておられますが、項目4の『消化管』には『●』印がないので、前回の受診時に消化管(胃や大腸)の検査を受けておられないことがわかります。
以前の記事の中で男女ともに50歳以上からがんの罹患率(がんにかかる割合)が増加し、30歳代後半~40歳代では女性の方がやや罹患率が高くなっているとお伝えしたことを覚えておられますか? また、胃がん・大腸がんは男女ともに1~4位のいずれかに位置するほど多いがんであることも。
そう考えると、この方の場合、消化管の検査を一度受けておいた方がいいということになりますね。
この方へのおすすめオプション
①胃透視
②胃内視鏡(カメラ)
③ピロリ菌
④ペプシノーゲン
⑤胃がんリスク
 (ピロリ菌+ペプシノーゲン)

前回のときに指摘されている部分をチェック

同じ方をモデルにしてみましょう。
この方は次の図の通り、項目17の『乳房』で『1年後の経過観察』と判定されていることが分かります。
より細かく見てみると、この方は乳房の検査を『乳腺エコー』で受けておられます。この検査の結果、1年後の経過観察と判定されておられるので、改めて『乳腺エコー』を受けることをおすすめします。
おすすめする理由としては、『過去と比較ができる』という点です。比較することでどう変化しているかがわかります。

前回のときに指摘されている部分をより詳しくチェック

同じ検査を行うことで過去と比較して変化を調べることができる点に着目した先述の選び方に対し、皆様の中には『指摘された点をもっと詳しく調べたい』という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、どんな検査でも『これをすれば必ず見つかる』というものは残念ながらありません。では病気の発見の可能性を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
その方法の1つとして、別の方法で調べてみるという手法があります。
例えば乳房の検査では、先ほどの『乳腺エコー』の他にも『マンモグラフィ』という検査があります。
この2つの検査についてはこちらの記事をご覧ください。
マンモグラフィ
乳腺エコー
『マンモグラフィ』と『乳腺エコー』にはどちらも一長一短があります。一番おすすめするのは両方受けていただくことです。世界的な医学誌『Lancet誌』でも、マンモグラフィ(触診含む)に乳腺エコーを追加したことで早期乳がんの発見率は約1.5倍になったと示されています。
別の例として、上で挙げた胃透視と胃カメラ。胃透視で指摘を受けている方は、次は胃カメラにてお受けになることをおすすめします。
他にも血液検査で肝臓の値に異常があるとの指摘があったときは、次は血液検査とともに腹部エコーを受けるというように。
ただ、前回の結果と比較するためには同じ検査を受けていることが一番です。その上で別の検査を併用されると過去と比較しつつ、より詳しく診ていくことができるのです。