以前に全国データからのオプション検査の選び方をご紹介しましたが、今回は年齢・性別という観点からの選び方をご紹介します。年齢・性別・生活環境などによって健康リスクは変わってきますので、ご自身の条件に合わせてオプション検査の項目を選ぶ際の参考にしてみてください。

 まずは、各年代別がんの罹患率を見てみましょう。男女とも50歳代くらいから増加し、高齢になるほど高くなっていることがわかります。また、30歳代後半から40歳代では男性より女性がやや罹患率が高く、60歳代以上では女性より男性の罹患率が著しく高くなっているのがわかります。

 次に、40歳以上において、どの部位の罹患が多いかを男女別で見たものです。
男性は、消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)が多くを占めますが、70歳以上では前立腺がんと肺がんの割合が増加しています。
女性は、40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんが多くを占めますが、高齢になってくると、その割合は減少し、消化器系のがんと肺がんの割合が増加しています。

 それでは具体的にみていきましょう。

女性の方へ

 女性系のがんは早い年齢でも発症することがあります。
そのため、若いときからマンモグラフィ、乳房超音波検査、子宮頚部細胞診等の検診を受けておきましょう。

 ところで、皆様は”高濃度乳房”という言葉をご存知でしょうか?
マンモグラフィでは、乳腺は白く、脂肪が黒く写りますが、乳がんなどの病変も白く写るために、乳腺が多く脂肪が少ない「高濃度乳房」の人では、白い乳腺の陰に病変が隠れてがんが見つかりにくいという傾向があります。下の写真は30歳代の同じ人を撮影した、マンモグラフィー(左)と乳房超音波検査(右)の写真です。マンモグラフィーでは一見正常に見えますが、乳房超音波検査では大きなのう胞が写っています。マンモグラフィーと乳房超音波では、検出できる得意分野が違ううえに、乳腺量には個人差があります。
そのため、乳腺組織の多い若い女性は乳房超音波検査かマンモグラフィとの併用受診を推奨します。

マンモグラフィー
乳房超音波

 また、閉経を迎えると女性ホルモンの低下にともない骨の量が急激に減少するため、骨密度検査を行い自分の骨の状態を知っておくことが重要になってきます。

男性の方へ

 下左図は前立腺がんの年代別での罹患率です。
50歳代以上になると、前立腺がんが増えはじめているのがわかると思います。そのため、50代以上の方には、PSA検査をおすすめします。

 右上図は、2018年度の年代別女性受診者数と、各オプション検査の検査数を示したグラフです。

 右下図は、2018年度の年代別男性受診者数と、PSA検査数を示したグラフです。

 いずれも当施設における件数です。

男女共通です

50代以上の方は、がん、心疾患、脳血管疾患の3大疾病のリスクに注意が必要な年代になってきます。
上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、胸部CT、腫瘍マーカー、頭部MRI検査(脳ドック)、血圧脈波検査

60代以上の方は、がんや生活習慣病の進行の可能性もあり、症状がなくても健康な体を維持するために、特定の部位だけではなく、全身の健康状態をチェックしましょう。
心臓超音波検査

右図は2018年度における当施設のオプション件数です。

いかがでしょうか。
年代別にそれぞれが受けるべき検査が見えてきたのではないでしょうか。 いつ陥るかも知れない健康不安ですが、いつまでも元気でいるために、事前の検査や検査内容のポイントを確認しておきましょう。